加入期間と年金額5/23 厚生年金加入者の老齢年金・その2

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厚生年金の加入期間に基づく年金額

(その1からの続き)その昔、厚生年金の老齢年金は原則として60歳から支給されていました。年金額は報酬比例部分と定額部分という二階建てです。なお、被扶養の配偶者などがいれば、扶養手当に当たる加給年金額が加算されていました。

ちなみに、当時も今と同様に厚生年金と国民年金という2つの公的年金制度がありましたが、当時の厚生年金は会社員を加入者とする制度、国民年金は会社員以外の自営業者などを加入者とする制度でした。国民年金の老齢年金は65歳から支給されていましたが、これは定年のある会社員と定年のない自営業者という、当時の加入対象者の引退年齢の違いからでしょう。

これが昭和61年、大きく変わります。国民年金をすべての人に基礎年金を保障する制度にリニューアルしたのです。自営業者はもちろんのこと、厚生年金に加入する会社員や専業主婦など、職業にかかわらずすべての人を国民年金加入者とし、すべての人に65歳から老齢基礎年金を支給する制度に変えたのです。

これにより、会社員は厚生年金加入者であると同時に第2号という国民年金加入者とされ、老後はその2号期間に基づく老齢基礎年金が支給されることになりました。ただし、それまでの報酬比例部分と定額部分という年金額の老齢厚生年金にプラスして老齢基礎年金を支給するのでなく、それまでの定額部分を廃止して、その代わりに老齢基礎年金を支給するとされたのです。ちなみに、定額部分は厚生年金加入期間に基づき、老齢基礎年金は国民年金2号期間に基づきますが、同じ加入期間に基づく両者は同額になるように設計されたので、とくに損得が生じたわけではありません。

厚生年金の加入期間に基づく年金額

厚生年金の加入期間に基づく年金額

改正後、厚生年金は老齢年金も障害年金も遺族年金も定額部分が廃止され、基礎年金の上乗せに位置する報酬比例の年金制度とされました。そして、老齢厚生年金の支給年齢は、65歳から支給される老齢基礎年金に合わせて65歳支給となったのです。ただし、それまで60歳から支給されていた年金をいきなり65歳支給にはできません。

そこで、当分の間の経過措置として、60歳から65歳になるまでの5年間についても老齢厚生年金を支給する制度が設けられました。65歳からの老齢厚生年金と区別して、これを特別支給の老齢厚生年金といいます。特別支給の老齢厚生年金には、改正後でありながら「定額部分」が残されました。65歳前ですから一階部分の老齢基礎年金が支給されないためでしょう。

これが現在の会社員が老後に受給する老齢年金です。65歳前に特別支給の老齢厚生年金を受給し、65歳から老齢厚生年金と老齢基礎年金を受給する。二階部分は、65歳前後を通じて厚生年金加入期間に基づく報酬比例部分です。一階部分は、65歳前は厚生年金加入期間に基づく定額部分、65歳以後は国民年金2号期間に基づく老齢基礎年金です。制度や計算方法は違っても、二階は報酬比例の年金額、一階は最低保障的な定額の年金額というわけです。

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