繰下げ受給

繰下げ受給5「特老厚受給者の繰り下げの手続き」

65歳前に支給される特別支給の老齢厚生年金は、65歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金とは、別の年金です。ちなみに、特別支給の老齢厚生年金は繰下げ受給できません。特別支給の老齢厚生年金を通常どおり受給した上で、65歳からの老齢厚生年金と老齢基礎年金を繰下げ受給します。

特別支給の老齢厚生年金を受給していた人には、65歳の誕生月が近づくと、ハガキ形式の65歳からの老齢厚生年金と老齢基礎年金の請求書が郵送されてきます。これには「繰下げ受給希望欄」が設けられています。老齢厚生年金と老齢基礎年金を両方とも65歳から通常受給するときは、「繰下げ受給希望欄」には手を触れず、それ以外の必要事項を記入してハガキを返送します。これで老齢厚生年金と老齢基礎年金が通常支給されます。

たとえば、老齢厚生年金だけを繰下げ受給し、老齢基礎年金を通常受給しようというときは、「繰下げ受給希望欄」の「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」を◯で囲み、その他の必要事項を記入してハガキを返送します。これで老齢基礎年金が通常支給されます。老齢厚生年金は66歳以後の希望するときに年金事務所に出向き、繰下げ受給の手続きをします。老齢基礎年金だけを繰下げ受給するときは、この逆です。

繰下げ受給は、65歳時の通常受給の請求を保留するものです。ハガキは、老齢厚生年金と老齢基礎年金という二つの年金の請求書であるため、どちらか片方だけを繰下げ受給するときは「その年金のみ繰下げ希望」を◯で囲んで返送しますが、こうしたからといって繰り下げを希望した年金は必ず繰下げ受給しなければならないわけではありません。後にその年金を通常請求して通常受給することもできます。

老齢厚生年金と老齢基礎年金を両方とも繰下げ受給しようというときは、ハガキを返送しないで放っておきます。その後、老齢厚生年金と老齢基礎年金それぞれについて、66歳以後の希望するときに年金事務所に出向き、繰下げ受給の手続きをします。このときも、繰り下げではなく通常受給の請求をすることも可能です。

繰下げ受給4「老厚・老基を自在に繰り下げできる」

繰り上げ受給は、老齢厚生年金と老齢基礎年金を一緒に繰り上げなければなりませんが、繰下げ受給はこの二つの年金を自在に繰り下げできます。

たとえば、老齢厚生年金を65歳から通常受給し、老齢基礎年金だけを繰下げ受給することができます。あるいはこの逆に、老齢基礎年金を65歳から通常受給し、老齢厚生年金だけを繰下げ受給することもできます。

また、たとえば老齢基礎年金を67歳から繰下げ受給し、老齢厚生年金を69歳から繰下げ受給するなど、二つの年金を異なる時点から繰下げ受給することもできます。

繰下げ受給3「累計額の逆転は常に11年11カ月後」

老齢厚生年金や老齢基礎年金を66歳以後から繰下げ受給した場合の累計額が、65歳から通常受給した場合の累計額を逆転する時期は、何歳何カ月から繰下げ受給をしても、必ず繰下げ受給開始から11年11カ月後です。

たとえば、68歳から繰下げ受給をした場合の年金額は、老齢厚生年金も老齢基礎年金も「0.7%×36月=25.2%」増額されて125.2%になります。二つ合わせて「250.4」です。68歳時点の累計額は、65歳からの通常受給が「200×3年=600」であるのに対し、繰下げ受給は「0」です。

ただし、68歳以後は繰下げ受給の累計額が通常受給の累計額に毎年「50.4」ずつ追いついていきます。こうなると「600÷50.4=11.9年後(11年11カ月後)」に繰下げ受給の累計額が通常受給の累計額を逆転します。

繰下げ受給2「受給累計額は何年で逆転?」

老齢年金を繰下げ受給すると年金額が増額されますが、65歳より遅くから受給しているため、「受給累計額」については通常受給のほうが繰下げ受給より先に積み上がります。

65歳から通常受給する場合の年金額を100%とすると、たとえば70歳から繰下げ受給をした場合の年金額は、老齢厚生年金も老齢基礎年金も142%になります。この二つの年金を合わせると、65歳からの通常受給は「200」、70歳からの繰下げ受給は「284」です。70歳時点の累計額は、通常受給が「200×5年=1000」であるのに対し、繰下げ受給は「0」です。

ただし、70歳以後は、繰下げ受給の累計額が通常受給の累計額に毎年「84」ずつ追いついていきます。こうなると「1000÷84=11.9年後(11年11カ月後)」に、繰下げ受給の累計額が通常受給の累計額を逆転します。

受給累計額に限っていえば、繰下げ受給を始めた70歳から11年11カ月後、つまり81歳11カ月より早く死亡した場合は繰下げ受給の効果がなかったことになり、81歳11カ月より長生きすると効果があったことになります。ただし、これはあくまでも一つの物差し、参考材料の一つです。

繰下げ受給1「繰下げ受給による年金額の増額」

65歳から支給される老齢厚生年金や老齢基礎年金は、66歳から70歳になるまでの間の希望する時点から「繰下げ受給」することができます。ちなみに、繰上げ受給は64歳11カ月の月に請求する1カ月だけの繰り上げができますが、繰下げ受給できるのは66歳以後のため、最低でも1年間は繰り下げなければなりません。

老齢年金を繰下げ受給すると、年金額が「0.7%×繰下げ月数」の割合で増額されます。「繰下げ月数」は、65歳になった月から繰下げ申出をした月の前月までの月数です。たとえば、70歳になった月に繰下げ申出をした場合の繰下げ月数は、65歳になった月から70歳になる月の前月までの月数ですから60月です。この場合の増額率は「0.7%×60月=42%」です。

繰り下げをせず65歳から通常受給する年金額を100%とすると、5年遅く70歳から繰下げ受給した場合の年金額は、42%増額されて142%になるというわけです。増額は一生涯続きます。

なお、繰り下げできるのは70歳までの5年ですが、令和4年4月1日以後に70歳になる昭和27年4月2日以後生まれの人は、75歳までの10年の繰り下げが可能となります。これに関しては別ページをごらんください。

「老齢年金の繰上げ受給・繰下げ受給」1

厚生年金に加入する会社員や公務員は、老後、「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」という二つの老齢年金を受給します。受給できるのは両方とも「65歳」からですが、これを前倒しして60歳以後の希望する時点から「繰上げ受給」することもできます。繰上げ受給をすると年金額が減額されるため、できれば避けたい受給方法ですが、事情によっては繰上げ受給せざるを得ないケースもあるかもしれません。

一方、繰り上げとは逆に、66歳以後の希望する時点から「繰下げ受給」することもできます。繰下げ受給をすると年金額が増額されるため、できれば繰下げ受給したいところですが、繰り下げ中に年金を受給できないのがネックです。

なお、今までは最も遅くて70歳まで繰り下げできましたが、令和4年4月1日以後に70歳になる昭和27年4月2日以後生まれの人は75歳まで繰り下げできるようになります。これに関しては別ページをごらんください。

繰上げ受給や繰下げ受給は、年金額が増減することから損得という目で捉えがちです。もちろんそれも重要なことですが、自分のリタイアメントプランに沿った時期から老齢年金を受給できる仕組み…と捉えることもできるのかもしれません。